抄録
イソプロチオラン (ジイソプロピル 1,3-ジチオラン-2-イリデンマロナート) の土壌による吸着等温式は, ヘンリー (平衡) 型であった. 吸着の過程は発熱的であり, 低温になるほど強い吸着がみられた. 吸着熱は, 用いた土壌により異なるが, いずれも低くて (4.3~6.0kcal/mol), イソプロチオランの土壌吸着は物理現象であることを示唆した.
水の移動に伴うイソプロチオランの土壌中移行は, その土壌の吸着能と逆比例し, 両者間には良好な相関関係が存在した. すなわち, 吸着能の低い土壌中ではイソプロチオランの移行が大きかった.
イネによるイソプロチオランの根部よりの吸収は, 土壌の存在により, 吸着能の程度とよく相関して阻害された.