ヒューマンファクターズ
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研究論文
課題解決に活用できる知識伝承モデル構築に関する研究
髙橋 正成堀木 幸代刑部 真弘
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2012 年 16 巻 2 号 p. 107-123

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抄録

日本の産業界では、技術者の高年齢化とプラント設備の高経年化により知識伝承は、依然として共通の課題となっている。本研究では、理解・解釈の裾野が広がったため扱いが困難となっているナレッジマネジメント(以降KM)課題を解決するための知識伝承モデルとそれを活用する方法論を構築した。本報では、知識伝承モデル構築を中心に報告し、それを活用する方法論は次報で報告する。本知識伝承モデルにより、次の2つのKM課題の解決を試みた。KM課題1は、「論文等で紹介されている知識伝承課題の解決アプローチを個別の知識伝承課題に適用しても意図した効果が得られないこと。」である。KM課題2は、「採用した解決アプローチの適用効果の測定が難しい(特に定量評価)。」という課題である。本知識伝承モデルは、筆者のKMコンサルティング経験で暗黙知化されていた知識伝承の成功要因を帰納法的に形式知化したものである。伝承すべき知識の蓄積場所(メディア)を定義し、そのメディア間での知識移動を知識伝承と考える視点を取り込むことにより、複雑化したKMを単純化させる知識伝承モデルを構築し、上記の課題を解決した。

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