ヒューマンファクターズ
Online ISSN : 2186-2389
Print ISSN : 1349-4910
ISSN-L : 1349-4910
研究論文
前方死角モニタ使用による運転者の運転不安感低減効果について
見通しの悪いT字路右折時の主観評価
嶋田 淳城戸 恵美子朴 信映吉武 良治
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 25 巻 2 号 p. 56-61

詳細
抄録

フロントグリル中央上部に搭載した広角の車載カメラで、前方左右の死角の状況を確認する、前方死角モニタ(Forward Blind Spot Monitor:FBSM)の有効性を実車実験により検討した。見通しの悪いT字路をテストコースに構築し、実験車で右折する課題を10 名のドライバに与えた。前方死角モニタの有無に加えて、左右から接近してくる車両や歩行者の交通条件も統制した。不安感や身体的負荷、およびアクセルペダルとブレーキペダルの踏み替え回数(以下、「ペダル踏み替え回数」とする)を計測した結果、右折時のドライバの不安感と身体的負荷は前方死角モニタが有ることで有意に低減し、同時にペダル踏み替え回数も低減した。身体的負荷には左右からの交通条件の影響も認められた。不安感低減に起因する、ペダル踏み替え回数低減は、踏み違え事故低減への寄与の可能性も示唆する。以上の結果より、見通しの悪いT字路における前方死角モニタの、不安感低減などの心理的な有効性が示された。

著者関連情報
次の記事
feedback
Top