Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
エチレンジクロリドの熱分解プロセス炭素質物質の析出機構
光来 要三石橋 真山本 健児持田 勲樋口 和夫
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2003 年 46 巻 5 号 p. 308-314

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抄録
エチレンジクロリド (EDC) を塩化ビニルモノマーに熱分解する商業プロセスの熱交換器に析出する炭素質物質の析出機構, ならびに影響する因子を実験室レベルのオートクレーブを使用して220~250℃ で調べた。オートクレーブ中において商業プロセスで析出するものと同じ炭素質ナノ球粒子が集合した析出物が確認できた。試薬の純EDCおよび商業プロセスで使用される純度の低いEDCを使用して, 温度, 圧力の影響を調べた。純EDCでは時間の経過とともに析出量は増加し, 48 hで0.73 wt% になり, 析出した炭素質球粒子の直径の増大が認められた。高温では収率, 粒子径が増大した。商用EDCにはクロロオレフィンやジエンが含まれ, 純EDCよりかなり収率が高くなった。溶媒や管壁の材質の影響も調べた。250℃ で1% のベンゼンを添加すると, 球粒子の収率, 直径が減少した。ビフェニルやテトラリンを溶媒として添加しても収率が減少した。何度も使用したステンレス反応器や表面が酸化鉄 (Fe2O3) の鉄棒を添加すると炭素質物質の収率は著しく増大したが, ガラス容器中では収率は減少した。生成した塩酸が反応器内を腐食し収率を増加させたものと考えられる。炭素質析出物の形態, 収率から生成機構, 析出抑制の方法を議論した。
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© 2003 公益社団法人石油学会
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