Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文
DMEディーゼルエンジンの実用化研究開発
小熊 光晴後藤 新一鈴木 信市結城 茂通
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2008 年 51 巻 6 号 p. 317-331

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抄録

本報では,DME(Dimethyl Ether)中型トラックの研究開発を通じて得られた知見を基に,燃料特性の大きな課題である潤滑性改善に関する検討,エンジンおよび車両開発,微量成分を含む排出ガス特性の評価および車両走行試験と得られた結果について,一連の研究開発に対する集大成としてまとめる。
潤滑性評価方法の検討では,既存の軽油用試験方法を基に新しい装置を導入し,液化ガスであるDMEの潤滑性能と潤滑性向上剤の効果を数値として表現することを可能とした。今後,実機耐久性との相関を評価し,より一般化し得るシステムとすることで,DME燃料の潤滑性評価方法の標準化も可能になると思われる。
PM(Particulate Matter)を含む微量排気成分の排出特性評価では,DMEの物性的特異性との関連が明確となり,厳格化する排出ガス規制に対してクリーン化が進む軽油ディーゼル排気よりも優位に立てるポテンシャルは大きいといえる。
車両開発および実証走行試験では,実際にシステムとしてまとめ上げ,公道走行試験により課題抽出とその改善を重ねることで完成度を向上することができた。

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© 2008 公益社団法人石油学会
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