Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文
無機膜の気体透過メカニズム
S. Ted Oyama山田 真理子菅原 孝高垣 敦菊地 隆司
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2011 年 54 巻 5 号 p. 298-309

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抄録

膜の気体透過に関する主要なメカニズムとその表現式について記述した。透過メカニズムは透過するガス分子径と膜の細孔径との相互サイズに依存する。細孔径が小さくなるにつれて,透過メカニズムはバルク拡散,クヌーセン拡散,表面拡散,活性化拡散,固相拡散へと変化する。それぞれの透過メカニズムにおいてガス分子は以下のような振る舞いを示す。(1)バルク拡散では膜の大きなサイズの細孔内を分子が層流にて透過する。(2)クヌーセン機構では分子が中間サイズの細孔と衝突し通過する。(3)表面拡散では分子が比較的小さな細孔の壁のポテンシャル場にトラップされつつ細孔内を通過する。(4)活性化拡散では分子はポテンシャル場をのがれるが,小さな細孔に束縛される。(5)固相拡散では固体内部へ溶解し,拡散によって輸送される。これらのメカニズムについて,例として中間サイズの細孔径を有するアルミナ膜と緻密(ちみつ)な構造からなるシリカ膜の二つの膜を用いて示した。

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© 2011 公益社団法人石油学会
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