2011 年 54 巻 5 号 p. 338-343
Fe–Ce–KおよびFe–Ce–Mo–K系複合酸化物触媒を用いてエチルベンゼン脱水素反応を試み,選択的水素燃焼プロセスに用いられる触媒の高温耐性の試験として,Kが不足した組成でのMoの添加効果を研究した。Kが不足した組成では,Fe–Ce–K触媒は副反応生成物の量が顕著に増加したが,Mo添加触媒は活性が低くなるとともに,副反応も大幅に抑制した。Mo添加によって,K不足の組成で表面積が縮小した。X線回折により,モリブデン酸塩(K2MoO4,KCe(MoO4)2,Fe2(MoO4)3)の生成が確認できた。これらの酸化物は表面積が小さく,触媒活性が低かった。Mo添加によって,触媒表面がモリブデン酸塩に覆われ,副反応の活性点を有効に阻害することから,Kが減少した場合に生じる副生成物を大幅に抑制できるものと結論した。