2012 年 55 巻 1 号 p. 33-39
近年,新興国でのモータリゼーションを背景にブタジエン需要の激増が予想されている。本研究では,既存プロセスに加え,需要増加に耐えうる新規なブタジエン製造方法の提案を目的として,n-ブタン脱水素反応に着目し,有効な触媒の探索を行った。触媒には担持Pt–Sn触媒を用い,担体には共沈法により調製したFe2O3–Al2O3,ZnO–Al2O3,MgO–Al2O3を用いた。n-ブタン脱水素反応の結果,Pt–Sn/MgO–Al2O3(Mg/Al = 1/2)が最も高い転化率,ブタジエン収率を示したため,MgO–Al2O3担体の組成が触媒活性に与える影響を調査した。反応中に見られた触媒活性の劣化原因をTG-DTA,反応-再生サイクルよりコーク堆積であると特定し,Mgの添加によるコーク生成の抑制が確認された。さらに,ブタジエン収率増加のため反応温度,Sn/Ptを変化させた場合の本反応結果から,Snは担体表面上での副反応を抑制する効果があると考察し,CO化学吸着量測定からMg,SnはPt粒子のシンタリングを抑制していることが分かった。