固体酸性と分子ふるい能を併せ持つゼオライトは,反応プロセスや分離プロセスにおける重要な物質である。さらに,膜形状のゼオライトは,無機膜の特性(耐熱,耐薬品性)とゼオライトの特性を併せ持つ。そのため,ゼオライト膜は,分離膜,反応膜,および反応分離膜としての応用が期待され,多くの研究者に注目されてきた。ゼオライト膜の特性を十分に引き出すためには,その基材となるゼオライトの結晶サイズ制御,およびゼオライト膜における酸点の位置選択的不活性化と細孔経の制御が有効である。本稿では,エマルション法によるナノサイズゼオライト合成法と有機シラン化合物を用いたゼオライト酸点の位置選択的な不活性化法(CCS法)を紹介する。そして,ゼオライトの結晶サイズとCCS処理がゼオライト膜特性に及ぼす影響について概説する。