抄録
燃料電池発電システムの水素製造プロセス用の脱硫法として,水素を添加しないt-ブタンチオール(TBT)の直接分解についてゼオライト触媒を用いて検討した。TBTはH-Y型およびH-ベータ型ゼオライト上で,25~150 ℃の反応温度で硫化水素に分解した。60 ℃で長時間試験を行うと,徐々にTBT転化率が低下して,使用後の触媒上に重合物が検出された。劣化速度はゼオライトの酸量が多いほど増加した。重合物の析出量はTBT転化率の低下とともに増加したが,一定量まで析出した後は増加せずTBT転化率もほぼ一定となった。反応温度150 ℃で耐久試験を行ったところ,触媒上への重合物の析出は6 wt%で一定となり,TBT転化率も125時間低下しなかった。