Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文 ─ 特集「名古屋大会」 ─
重油直接脱硫の分子反応モデルの開発
萩原 和彦権代 隆行藤長 寛之田中 隆三
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2016 年 59 巻 5 号 p. 219-227

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抄録

フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(FT-ICR-MS)による重質油の詳細組成データを用いて,重油直接脱硫(RDS)の主要な反応を模擬する分子反応モデルを開発した。この研究では,重質油の反応を構造属性(コア,側鎖,架橋)により定量的に表す反応モデリング法を採用した。RDSにおいて特に重要となる重質油のコアの反応挙動は,RDS前後でのコアの構造と組成をFT-ICR-MSにより詳細に解析した。この結果に基づいて,RDSにおける主要なコア1233種類を選択し,その脱硫,脱窒素,核水添の反応経路2107からなるコアの反応ネットワークを提案した。コアの反応経路の活性化エネルギーは,コアの標準反応熱と定量的構造反応性相関(QSRR)式により推算した。さらに,重質油の側鎖,架橋の反応モデリングも行い,最終的にRDSの反応シミュレーションが可能な分子反応モデルを開発した。そして,開発した触媒2種類の反応モデルを比較し,触媒の反応特性と物理性状との相関を考察した。

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© 2016 公益社団法人石油学会
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