Journal of the Japan Petroleum Institute
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技術報告 ─ 特集「名古屋大会」 ─
液体炭化水素中の水銀化学形態別分析方法の検討
川崎 緑 大塚 町恵山田 淳也小林 淳
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2016 年 59 巻 5 号 p. 235-240

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抄録

石油・天然ガスには産地により水銀が微量に含まれている場合があり,含まれる水銀は石油上流および下流において操業上の問題を引き起し,さらに人体への毒性も有するため,石油・天然ガス生産プラントでは,水銀除去を行ってから出荷をしている。水銀除去において生産流体中に含まれる水銀の化学形態を把握することは重要であることから,GC-ICP-MSによる化学形態別分析法の検討を行った。対象とした水銀種は原油・コンデンセートに主に含まれる金属水銀およびイオン状水銀(塩化水銀,塩化メチル水銀)である。金属水銀の分析ではGCへの注入方式を見直すことでピークがシャープとなり,コンデンセートを用いた添加回収試験において回収率97~106 %と良好な結果が得られた。イオン状水銀の分析では前処理に誘導体化が必要となり,従来用いられてきたグリニャール試薬と,水溶液の誘導体化に主に使用されているテトラフェニルホウ酸ナトリウムの比較試験を行った。添加回収試験では両誘導体化試薬の回収率は100±10 %以内と良好な結果を得られることが分かり,簡便かつ安全性の高い前処理方法を確立できた。

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© 2016 公益社団法人石油学会
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