2017 年 60 巻 2 号 p. 95-100
活性炭に担持した鉄触媒上でのフィッシャー・トロプシュ合成をスラリー床反応器で行い,以下のことを見出した。担体をオゾン処理すると,安定性を著しく増大させることが可能であり,最適な処理温度は400 ℃である。同じ温度での窒素中の熱処理でもある程度の改善はみられるが,その効果はあまり大きくない。X線回折と窒素吸着の結果では,オゾン処理による担体自体の劇的な構造変化は認められないが,一方でメソ孔の平均細孔径と細孔容積は約1.3倍に増大する。このことから,オゾンが一部のアモルファスな炭素層を除去し,細孔をある程度広げることが示唆される。活性劣化の主な要因として生成するワックス状物質が活性点を覆うことが挙げられるが,細孔が拡大されると,重質成分の溶媒による抽出が起こりやすくなり,高活性が維持されるものと考えられる。さらに,オゾン処理によって炭素数分布が軽質化することより,二次的な連鎖成長が抑制されることが分かる。