Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文 ―特集「ゼオライト触媒を用いた低級オレフィン製造(1)」―
ZSM-5型ゼオライト触媒によるメタノールおよびエタノールからの低級オレフィン合成
佐野 庸治
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2017 年 60 巻 6 号 p. 263-276

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抄録

SiO2/Al2O3比70~3700のアルカリ土類金属含有ZSM-5型ゼオライト触媒を合成し,そのメタノール転化性能を調べた。500 ℃を超える高温で高い低級オレフィン選択性を示した。特に,SiO2/Al2O3比100~300のCa-ZSM-5では(エチレン+プロピレン)収率は65 C%にも達した。この高い低級オレフィン選択性は,導入されたアルカリ土類金属がZSM-5ゼオライトの強酸点を弱酸点に変え,コーク質の生成および脱アルミニウムを抑制していることに起因している。しかし,メタノール転化反応中に副生する水および二酸化炭素によって,弱酸点からのアルカリ土類金属の離脱が起こり,強酸点が再生することが明らかとなった。強酸点の再生はゼオライト触媒の失活の原因であるコーク質の生成および脱アルミニウムを促進するため,弱酸点をいかに安定させるかをさらに検討した。その結果,アルカリ土類金属炭酸塩による修飾が弱酸点の安定化に有効であり,触媒寿命はさらに向上した。特に,SrCO3修飾Sr-ZSM-5は2000時間の触媒寿命を示した。また,酸性質の異なる種々のZSM-5型ゼオライト用いてエタノール転化反応も行った。AlをGaで同型置換した ZSM-5(Ga)をPおよびLaで共修飾La/P/ZSM-5(Ga)ではLa/Ga比の増大とともにプロピレン収率は増大し,P/Ga比1,La/Ga比0.4で約29 C%の最大プロピレン収率が得られた。さらに,La添加により強酸点を修飾していたP種がLaPO4として脱離することにより,プロピレン生成に有効な強酸点が再生することを明らかにした。

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