Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
流動層ガス化炉における褐炭ガス化によって生成するタール成分に対するタール吸着粒子の影響
村上 高広
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2021 年 64 巻 4 号 p. 197-202

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抄録

褐炭のガス化に適した二塔式流動層ガス化炉では,ガス化反応としては比較的低温となる1073~1173 Kで運転するため,原料のガス化に伴いタールが生成し,後段の冷却系配管にタールが付着する等の問題がある。本研究では,褐炭のガス化におけるタールを低減するため,実験室規模の二段流動層ガス化炉の上段にタールの吸着材として多孔質アルミナ粒子を適用して,生成ガスのガス化特性およびタール成分を分析し,その効果を調べた。結果として,ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)および電界脱離質量分析(FD-MS)を用いたタール成分の分析結果から,熱分解および水蒸気のそれぞれのガス化条件で得られたタール成分にはほとんど差異がなく,タールの主成分は置換基のない多環芳香族炭化水素であった。また,タールの主成分をGC/MS分析のみで十分に同定可能なことが分かった。多孔質アルミナ粒子の適用によりガス収率が増加し,タールのクラッキング効果が認められた。さらに,ガス収率は熱分解よりも水蒸気でのガス化条件時に増加し,水蒸気によってガス化反応が促進されることが確認された。本結果から,多孔質アルミナ粒子はタールの低減に有効であり,これを用いた改質炉としては,タール吸着材の長期間の使用が可能となる二塔式の改質装置が適すると考えられる。

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