2025 年 68 巻 2 号 p. 61-67
本論文で紹介するプロセスは,酸化マグネシウム等の固体塩基触媒を用い,大気圧下でトリグリセリドの脱炭酸分解反応を進行させ,炭化水素に富んだバイオ燃料を得ることが可能である。本研究では,脱炭酸分解反応によって得られた1次生成物に活性白土による吸着処理,および1 MPa未満の水素化処理による精製を実施し,処理前後の物性の改善を明らかにするとともに,内容物の変化を検討した。その結果,活性白土によりケトン類,カルボン酸,酸素含有芳香族化合物等の極性物質が除去され,色調(グレー値)が顕著に改善されるとともに,色調の経時変化が抑制された。また,水素化処理によりオレフィン類,多環芳香族炭化水素が大幅に除去された。これらの処理により,EN規格のランシマット法に準ずる簡易的酸化安定性試験法(加熱温度,空気送気量,捕集水量が異なる)にて測定した酸化安定性が向上した。この吸着および水素化の2方法により,油脂から脱炭酸,精製までを低圧条件下で行い,高品質バイオディーゼルの製造が可能なプロセスを開発することができた。