2026 年 69 巻 2 号 p. 76-90
本研究ではNOxをNH3に変換する(NOx-To-Ammonia: NTA)反応に活性な触媒を開発した。酸素除去やNO濃縮,水蒸気分離等の前処理なしで利用できるNH3合成技術の開発は,妨害ガス共存下でのNOの高選択的還元であり最も困難であるが,達成時には現行プロセスの大きな改善をもたらすと想定される。本研究ではC3H6を水素供給源とした。種々の活性金属,担体酸化物の中からAg,TiO2(ルチル)という組合せがC3H6-NTAに高い活性を示すことを見出した。Ag担持量が小さいところで高い触媒活性が得られ,エタノール中でAgを還元しながら担持する方法(ET法)を開発した。このET触媒は,高い初期活性を示したが,Agの凝集のため経時劣化した。そこで,TiO2(ルチル)担体にあらかじめNdを担持してからAgを担持する方法を検討した。Nd担持により直径約14 nmの細孔が担体上に新たに生成し,担持されたAgの触媒活性が安定した。最高NH3収率は88 %に達した。10 %酸素共存下という強い酸化雰囲気下で還元生成物であるNH3が選択的に生成する理由は,NH3燃焼温度がNH3生成温度よりもかなり高いためであることも解明した。担体上に吸着したNO3–がC3H6と反応してNH3を与えることを拡散反射FT-IRによって明らかにした。本研究により,NOを有害廃棄物からNH3生成のための原料に転換できることが明らかになった。