抄録
シリカ-アルミナ触媒を用いて種々の芳香族炭化水素の接触分解反応を行い, コーク生成速度およびコークのH/C比に対する反応時間および反応温度の影響を検討した。10~20meshに破砕した触媒および原料炭化水素としてm-キシレンを使用した時の反応時間とコーク収量の関係を Fig. 2に示す。Fig. 2からわかるように, コーク収量C[mg/g-catalyst]と反応時間θ[min]は Voorhies7) によって示されたEq. (1)により相関された。
C=Aθn (1)
ここで, Aとnは定数である。このnとAを他の炭化水素について測定すると Table 1のようになった。キシレン類において, コーク生成量は温度の上昇と共に増加するがnはほぼ一定になった。他の炭化水素のnはキシレン類に比較して小さな値を示したが, トルエンおよびエチルベンゼンのコーク生成量はキシレン類より大きくなった。また, Table 2に各炭化水素を500°Cで反応させた時の生成物分布を示した。トルエンおよびエチルベンゼンでは, 原料炭化水素の転化率は低い値を示したが, 反応は脱メチルまたは脱エチル反応のような分解反応であった。一方, キシレン類では, 主反応は異性化および不均化反応で脱メチル化反応は見いだされなかった。以上の結果から, コーク生成反応は主として分解反応と共に進行することが推測された。
コーク生成速度は原料炭化水素によって異なったが, コークのH/C比は Table 3に示すように原料炭化水素によらず0.3~0.5の値を示した。また, 希釈ガスを窒素から水素に変えてもその影響は見られなかった。キシレン類のコークのH/Cに対する反応温度の影響は, Fig. 3に示すように温度の上昇と共に0.6~0.9より0.3~0.4に徐々に減少した。
500°Cでp-キシレンを原料炭化水素として反応させた時のコークのH/C比と反応時間の関係を Fig. 4に示した。コークのH/C比は反応時間と共に徐々に減少して行くことがわかった。また, 各時間毎に生成したコークを500°C, 1時間窒素気流中で乾燥後, ベンゼンで5時間抽出した。抽出物は粘ちょう性のあるかっ色の液体で赤外線吸収スペクトルでは3,000cm-1および1,650cm-1に吸収が観測された。全コーク量に対する抽出物量の割合を Fig. 4に破線で示した。この曲線はコークのH/C比の曲線と同様に, 反応時間と共に徐々に減少して行くことがわかった。
さらに, この抽出物をガスクロにより分析すると, 反応時間の短かい抽出物から微量のp-シキレンが検出された。
以上の結果から, シリカ-アルミナ触媒上において, コークは次の経路により生成することが推定される。(1) 触媒表面上に吸着された原料炭化水素の分解反応と同時にH/C比が約1.0のコークが触媒表面上に生成する。(2) このコークが反応時間の経過と共に脱水素してH/C比が0.3~0.5のコークに変化する。また, コークの脱水素は反応温度により影響されるが原料炭化水素および希釈ガスの種類には影響されないことがわかった。