抄録
エチレングリコールテレフタレート (EGT) の重縮合反応においては, ポリマー主鎖のジエステル基及び末端エチルエステル基の熱分解反応によりカルボキシル基を生じる。回分式反応器で重合度50のプレポリマーを用い, 40rpm, 0.6mmHg 下で275°C, 280°C及び285°Cでの3時間後の重合度を比較すると, 触媒 (三酸化アンチモン) 濃度が0.06wt%以下では高温であるほど高重合度域に達するが, 0.06wt%以上添加した場合には275°Cの場合が最も高重合度に達していることがわかる (Fig. 1)。
さらにポリマー中のカルボキシル基量 (AV値, 当量/106g•ポリマー) の経時変化は, 圧力が0.6mmHgの場合ほぼ等しく変化し (Fig. 2), 10.0mmHgの場合は温度によって大きく変化することがわかる (Fig. 3)。Fig. 2の場合は生成したカルボキシル基がエステル化重縮合反応によりEGTの生成に寄与し消費されるためであるが, Fig. 3の場合は副生物の拡散が進行せず, 熱分解反応によって生成したカルボキシル基が蓄積されるためである。
これらの実験結果から主反応及び熱分解反応速度定数9),10)を副生物の拡散を考慮11)して決定し, アレニウスプロットから直線関係 (Fig. 4) を得て各反応の活性化エネルギーを求めた(Table 1)。
触媒濃度をひん度因子の関数としたポリマー主鎖の熱分解反応速度定数は次式で表される。
k3=4.5×1013•Cx•e-37,800/RT
ここで
k3; ポリマー主鎖の熱分解反応速度定数 (hr-1)
Cx; 触媒のモノマーに対するwt%
R; 1.987cal/mol•°K, T; 反応温度 (°K)
この結果及び前報6)に報告した主反応速度定数からポリエチレンテレフタレートの反応時間に対する重合度変化を計算し, 実験値と良好な一致をみた (Fig. 5)。本研究の結果は反応器の設計に適用できる。