石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
固体潤滑剤としての硫化ニオブ
広中 清一郎脇原 将孝谷口 雅男
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1983 年 26 巻 1 号 p. 82-85

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抄録
硫化ニオブ, Nb1.158S2が700°Cにおける五酸化ニオブと硫化水素の反応によって合成された (Fig. 1)。Nb1.158S2と市販の固体潤滑剤二硫化モリブデン, MoS2との酸化特性が示差熱分析によって検討され, 従来の結果と相反してNb1.58S2の方が酸化安定性が低いことがわかった (Fig. 2, Table 1)。
Nb1.158S2およびMoS2をそれぞれ3wt%ずつリチウム石けん/流動パラフィングリースに添加したときの摩擦特性が振子型摩擦試験機によって, 23~110°Cの温度範囲で比較された (Fig. 3)。無添加の場合, 摩擦係数は温度の上昇とともに, グリースの粘度低下による粘性抵抗の減少によってかなり低下した。添加グリースでは, これらの添加剤の層状構造による潤滑性によって, 摩擦は無添加のときよりかなり軽減された。
MoS2よりNb1.158S2の方が効果的であるのは, Fig. 4に示すような構造との相違によるものと推察される。ファレックステストによる極圧性の比較でも, Nb1.158S2がMoS2と同等以上の結果を示し, 硫化ニオブは潤滑グリース用添加剤として十分期待される。
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