石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
m-キシレンの不均化におけるH-モルデナイト結晶の大きさの劣化速度および形状選択性に及ぼす影響
難波 征太郎八嶋 建明
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1984 年 27 巻 6 号 p. 567-569

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抄録

Fig. 1 に示したような結晶の大きさの異なる3種のNa-モルデナイトを塩酸を用いてプロトン型にした。これらのH-モルデナイトの結晶の大きさの序列はつぎの通りである。
HM1<HM2<HM3
上記H-モルデナイトを触媒とし, m-キシレンの不均化を573Kで常圧流通系装置を用いて行った。生成物はトリメチルベンゼン (TMB), トルエン, o-, p-キシレンと少量のベンゼンとテトラメチルベンゼンであった。(Fig. 2) 触媒の活性は時間と共に低下し, TMB生成速度rと時間tの間にはつぎの関係が成立した。(Fig. 3)
lnr0/r=kr
ただし, r0は初期速度, kは劣化速度定数である。HM1, HM2, HM3に対するkの値が0.19, 0.24, 0.29h-1であることから, 結晶の大きなH-モルデナイト程劣化速度が速いことがわかる。
生成TMB中の1,2,4-異性体分率は形状選択性の指標になる。この1,2,4-異性体分率は時間またはTMB収率の低下と共に増加した。Fig. 4に, 1,2,4-異性体分率とTMB収率の関係を示す。同じTMB収率のときでも, 1,2,4-異性体分率はHM1, HM2, HM3の順に高くなった。したがって, 結晶の大きなH-モルデナイト程形状選択性が高いことがわかる。

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