1984 年 27 巻 6 号 p. 564-566
硫化水素が優先的に相互作用するCdNaYゼオライト中のCd2+イオンの位置 (サイト) を検討するために, イオン交換率の異なる CdNaY を数種類調製し, 交換率とクメン分解反応に対する硫化水素処理効果との関係とを検討した。この結果硫化水素は CdNaY のSIIサイトに位置しているCd2+イオンと優先的に相互作用して, クメンの分解反応に対するCdNaYの触媒活性を著しく増加させることがわかった。さらにCdNaYに吸着した硫化水素のIRスペクトルより, 低交換率のCdNaY上では硫化水素は完全に解離して3,640cm-1の酸性OH基のみを生成するが, 中程度以上の交換率では吸着硫化水素の一部は不完全に解離して, 3,640cm-1と3,545cm-1の2種類の酸性OH基を生成することがわかった。