石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
メタノールのCOとH2への分解に対する担持遷移金属の触媒活性
秋吉 亮服部 英田部 浩三
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1987 年 30 巻 3 号 p. 156-160

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抄録
メタノールのCOとH2への分解反応に対して, 活性, 選択性の高い触媒を探索することを目的とし, まず, 活性炭に種々の遷移金属を担持した触媒を調製し (Table 1), 触媒能を調べた。用いた遷移金属 (Co, Ni, Zn, Fe, Cu, Cr, Pt, Rh, Ru) の中では, Niが活性, 選択性, 活性低下および価格を考慮すると, 実用上最も良い触媒であることがわかった (Table 2)。
Ni触媒の能力を高める目的で, Niを種々の担体に担持させ触媒活性を調べた。最も活性が高く, 選択性も良い触媒は, Ni/SiO2-MgOであった (Table 3)。
アルカリ, アルカリ土類の添加効果を調べた結果, 活性炭担持Ni触媒の場合, K, Cs添加により活性が低下するが, Li, Mg添加により活性が増大することが認められた (Table 4)。種々の担体に担持されたNi触媒にKを添加したときの効果では, 活性は低下するが, CoとH2生成の選択性が向上した (Table 5)。
昇温還元法 (TPD) によると, NiOの還元の難易性は担体によって異なり (Fig. 1), NiOの還元が困難な触媒ほど, 活性は高いことがわかった (Fig. 2)。Ni/SiO2-MgOが高活性なのは, NiとSiO2-MgOの相互作用が大きく, 還元された後も分散状態を保っているためと推測した。
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