抄録
パラジウム膜を用いた水素透過型メンブレンリアクターのメタン水蒸気改質反応への適用を検討した。200~300nmの細孔を有する円筒状多孔質酸化物担体上にパラジウム薄膜を形成し, パラジウム膜厚と水素透過速度の関係について調べた。その結果をFig. 1に示した。パラジウム膜厚はめっき時間により調節した。水素透過速度は支持体の種類に関係なく, パラジウム膜厚に反比例した。これは, パラジウム膜厚が均一であること, および水素透過の律速段階はパラジウム中の水素の拡散過程であり, 水素透過が細孔の影響を受けないことを示している。
これら担持パラジウム膜を分離膜として用い, メタン転化率と系内水素分圧に与えるパラジウム膜厚の影響について検討した。その結果をFig. 2に示した。パラジウム膜厚が小さくなるにしたがい水素透過が促進され, メタン転化率は大となった。
Fig. 3は, 系内水素分圧と平衡転化率の関係を示す曲線に得られた実験結果をプロットしたものである。実験結果は平衡値とよく一致したことから, 用いた触媒の水素生成速度は十分に大きく, 本反応条件下では水素透過が律速であることを示している。