石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
チオフェン型化合物の脱硫と生成物の付加反応(第2報)
アルキルチオフェン類の反応性
三木 康朗杉本 義一山田谷 正子
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 36 巻 1 号 p. 32-37

詳細
抄録

ニッケルーモリブデナ/アルミナ触媒上におけるアルキルチオフェン類の反応性を脱硫, 含硫黄化合物の脱硫を伴わない水素化, 含硫黄化合物の脱硫を伴わない水素化開環, 脱硫生成物の付加および脱硫生成物の水素化の5反応の面から比較, 検討した。反応はバッチ式装置を用い, 温度225~300°C, 水素圧力8MPaで行った。
脱硫反応性は置換基の位置に大きく依存し, 硫黄原子に対してβ-位に置換基を有するものは置換基をもたないチオフェンよりも反応性が高く, α-位に置換基を有するものはチオフェンよりも反応性が低かった。脱硫生成物のオレフィン類が他の含硫黄化合物に付加してアルキルチオフェン類やジアルキルスルフィド類を生成する付加反応性は, 置換基の位置よりも構造に依存し, エチルチオフェン類はメチルチオフェン類よりも付加生成物の収率が高かった。
脱硫生成物であるオレフィン類の水素化は, 脱硫活性点上で脱硫に伴って起こる水素化と, 脱硫後水素化活性点上で起こる2次的な水素化の二つの過程で進行すると考えられた。いずれの水素化もα-位に置換基を有するものが高かった。含硫黄化合物の脱硫を伴わない水素化, すなわちテトラヒドロチオフェン類の生成率はこの逆で, β-位に置換基を有するものの方が高かった。
チオフェン環内のC-S結合の開裂による水素化開環反応性は置換基の位置に大きく依存し, 置換基からより離れたC-S結合の方が開裂しやすかった。2-メチルチオフェンの反応では, ペンタン-2-チオールはペンタン-1-チオールの約4倍量生成した。

著者関連情報
© 公益社団法人石油学会
前の記事 次の記事
feedback
Top