石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
パラジウム触媒による4,4'-ジブロモビフェニルのエトキシカルボニル化反応
固液相間移動触媒の効果
寺西 賢次高木 悟佐藤 俊彦花岡 隆昌竹内 和彦杉 義弘
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1994 年 37 巻 3 号 p. 333-336

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抄録

パラジウム-ホスフィン触媒による4,4'-ジブロモビフェニルのエトキシカルボニル化反応における固液相間移動触媒の効果を検討した。固体塩基として炭酸水素ナトリウム, 相間移動触媒としてヨウ化テトラブチルアンモニウムを用いた際, ホスフィンとして1,3-ビス (ジフェニルホスフィノ) プロパンを配位子とするパラジウム触媒が穏和な条件で高い活性を示し, 高選択率で4-ブロモ-4-ビフェニルカルボン酸エチルを与えた。しかし, 生成物の選択性にはあまり影響が認められなかった。相間移動触媒であるハロゲン化テトラアルキルアンモニウムにおいて, アニオンに関しては塩化物, アルキル基に関しては低級のものの促進効果が大きかった。また, 固体塩基としては炭酸カリウム, 炭酸ナトリウム, 炭酸水素ナトリウム等の効果が大きかったが, 炭酸リチウム, 酢酸ナトリウム等では著しく反応が阻害された。また, 一酸化炭素圧も反応に阻害効果を示した。この反応系ではカルボニル化反応は通常の系と同様に進行し, 律速段階は基質のパラジウム触媒への酸化的付加であり, 相間移動触媒は触媒からの臭化水素の脱離を促進していると考えた。

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