石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
インドネシア産天然ゼオライトのキャラクタリゼーションおよび修飾とそのパラフィン水素化分解特性
Wega TRISUNARYANTI芝 隆平三浦 雅博野村 正勝西山 憲和松方 正彦
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1996 年 39 巻 1 号 p. 20-25

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抄録
天然ゼオライトを触媒として利用する試みとして, 2種類のインドネシア産天然ゼオライト (Z1およびZ2) のキャラクタリゼーションおよび修飾を行うとともに, 石油モデル化合物としてn-ヘキサデカンを用いてそれらのパラフィン水素化分解特性について検討した。
まず, Z1およびZ2試料を6N塩酸水溶液中90°Cで30分あるいは20時間処理した。Z1およびZ2とそれらを酸処理した試料 (Z1-0.5h, Z2-0.5h, Z1-20h, およびZ2-20h) のX線回折分析から, Z1およびZ2はいずれも主としてモルデナイト型結晶からなること, および塩酸処理によりそれらに含まれる不純物量が減少することが示唆された。蛍光X線分析から, Z1およびZ2のSi/Al比はそれぞれ4.3, 3.1であり, 予期されたように処理により脱アルミニウムが起こり, Si/Al比が増加することが示された。水素化分解の検討から, Z1およびZ2が同程度の触媒能を持つこと, および酸処理により活性がかなり改善されることが明らかとなった。一方, Z1-20hおよびZ2-20hはZ1-0.5hおよびZ2-0.5hよりもそれぞれ活性が低いことが示された。NH3-TPDおよび29Si MAS NMR分析により, これは処理時間の延長により活性な酸点が減少したためと推察された。また, イオン交換法によりZ1-0.5hに少量のニッケル (0.8wt%) を担持すると触媒能が顕著に向上することが明らかとなった。
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