石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
油中におけるガラス繊維強化ナイロンのアルミナセラミックスに対する摩擦摩耗特性
藤田 光広広中 清一郎
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1997 年 40 巻 5 号 p. 386-392

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抄録

分子構造に起因する結晶化度の異なるナイロン (ナイロン6, ナイロン66およびナイロン46) のガラス繊維強化複合材について, 油中におけるアルミナセラミックスに対する摩擦摩耗特性がピン/ディスク型摩擦試験機により検討された。油中におけるガラス繊維強化ナイロンの摩擦係数は, 摩擦初期から空気中のそれよりも低く安定であった。空気中での相手アルミナ表面へのナイロンマトリックスの移着は, アルミナ表面が認められないほど油中におけるよりも非常に多く, これが空気中と油中の摩擦摩耗特性の相違に反映するものと考えられた。ガラス繊維によるナイロンの強化は, 油中の摩擦特性を著しく向上させるが, 摩耗は期待に反してむしろ増大した。この傾向は結晶化度の高いナイロン46に顕著であった。油中においては, 摩擦界面に油が介在することによって移着膜は十分に形成されないために, ガラス繊維とアルミナ表面の突起部や粒界との引っ掛かりによって, ナイロン複合材からのガラス繊維の折損や引抜きが起こるらしく, 高摩耗となった。ガラス繊維強化ナイロンの摩擦摩耗特性はアルミナ表面へのナイロンの移着膜の形成によって大きく影響を受けるらしい。

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