石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
軽油の深度水素化脱硫反応 (第2報)
水素化処理軽油に含まれるジベンゾチオフェン類の水素化脱硫反応に及ぼす硫化水素の影響
加部 利明赤松 和雄石原 篤大槻 周次郎神戸 正純張 慶銭 衛華山田 滋
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1999 年 42 巻 3 号 p. 150-156

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抄録

硫化したCo-Mo/Al2O3触媒を用いて, 硫黄含有量が0.168wt%以下の水素化処理軽油中に含まれるジベンゾチオフェン(DBT), 4-メチルジベンゾチオフェン (4-MDBT) および4,6-ジメチルジベンゾチオフェン (4,6-DMDBT) の水素化脱硫反応を検討した。反応は固定床流通式高圧反応装置を用いて, 反応温度290~370°C, LHSV 2~10h-1, Gas/Oil比125Nl/lの条件で行った。これらの化合物の反応は擬一次反応として整理した。水素化処理軽油中のDBT類の脱硫反応速度比は直留軽油中のDBT類の反応速度比よりもかなり大きな値となった。DBT類の水素化脱硫反応の活性化エネルギーは4,6-DMDBT>4-MDBT>DBTの順に低下したが, 活性化エネルギーの値の差は直留軽油よりも処理軽油に対して大きかった。これは, 処理軽油のHDSで生成するH2Sの量が直留軽油のHDSから生成するH2Sに比べて少ないことによると考えられる。そこで, H2Sの発生源としてポリスルフィドを軽油に加えて, H2Sの阻害効果を検討した。H2Sによる阻害効果はDBT>4-MDBTの順に減少し, 4,6-DMDBTについては阻害効果は認められなかった。これらの結果は, DBT類とH2Sとの競争吸着を仮定することで説明できた。

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