石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
希土類修飾HZSM-5触媒によるn-ブタンの接触分解反応
涌井 顕一佐藤 浩一澤田 悟郎塩沢 光治又野 孝一鈴木 邦夫早川 孝村田 和久葭村 雄二水上 富士夫
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1999 年 42 巻 5 号 p. 307-314

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抄録

n-ブタンから軽質オレフィンを得るクラッキング反応において, 希土類で担持修飾したHZSM-5の触媒特性を調べた。希土類修飾HZSM-5触媒では未修飾のHZSM-5と比較して, 芳香族の生成が抑制され, エチレン•プロピレンの生成量が増大した。また, 生成したキシレンのうち, パラキシレンの割合が増加していた。触媒のNH3-TPDおよびCO2-TPD分析から, HZSM-5に希土類を担持した場合, 担持前に比べ酸量および酸強度はあまり変化しないが, 触媒表面に塩基点が新たに生成することがわかった。SiCl4処理により外表面の酸点を不活性化したHZSM-5でも希土類担持と同様にパラキシレンの割合の増加傾向はみられたが, 全芳香族の生成抑制効果はみられなかった。これらのことから, 担持した希土類はHZSM-5の外表面に担持され外表面酸点を被毒あるいは細孔入口径を制御していることも考えられるが, 芳香族の生成抑制はこれらの効果のためではないことが明らかとなった。希土類修飾HZSM-5触媒ではスチーム処理によって芳香族生成の抑制がより顕著になり, またH2O-TPDにより触媒表面に水酸基が多く生成していることがわかった。このような希土類の水酸基および表面の塩基性が芳香族の生成抑制に関与しているものと推測した。

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