石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
微化石からみた日本海側油田地域の古環境変遷と油田の形成
佐藤 時幸
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2000 年 43 巻 3 号 p. 173-181

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抄録

近年, 時代対比精度が飛躍的に向上した石灰質ナンノ化石と, その生態学的特徴から古環境解析に重要な有孔虫化石に基づいて, 石油鉱床が形成されるまでの構造発達史を検討した。日本海の成立は, 門前階最上部の砂れき層より発見された石灰質ナンノ化石群集から前期中新世末のNN4帯であり, 最も古く見積もって1820万年前までさかのぼる。近年, 積極的に探鉱が行われている新潟地域のグリーンタフ火山岩貯留岩は, この日本海形成前後に形成されたが, 同様に油ガス田の貯留岩となっている秋田地域の玄武岩類は, 含まれる石灰質ナンノ化石に基づくと新潟地域の火山岩貯留岩より若く, 日本列島の中国大陸からの分離と関連した火山活動と結論される。秋田地域の油田構造の完成は海岸線沿いに位置する北由利衝上断層の形成によるもので, その時期は石灰質ナンノ化石から172万年前頃で, それと同時に石油根源岩が熟成レベルへ到達, 油田構造へ石油が移動した。一方, 石油根源岩は一般に女川階, または寺泊階でその能力が高いことが知られていたが, 有孔虫化石から当時の古海洋を復元した結果, 当時の新潟たい積盆地は強い還元環境を示すことが明らかになったほか, 復元された古海洋からすると, 石油根源岩となりうる有機物のたい積は長岡市西方の南北に位置する地域にたい積したと推定される。

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