2001 年 44 巻 3 号 p. 178-182
メタノールおよび塩化アルミニウム (AlCl3) の水溶液を溶媒として, コールタール吸収油留分-溶媒間における含窒素複素環式化合物 (含窒素成分, 2,3-ベンゾピリジン (キノリン), 3,4-ベンゾピリジン (イソキノリン), 2,3-ベンゾピロール (インドール)), 同素環式化合物 (芳香族成分), および含酸素複素環式化合物の液液平衡関係を実測した。いずれの条件においても, 他の成分に比較して含窒素成分は選択的に抽出され, また含酸素複素環式化合物は抽出相中に検出されなかった。抽出相におけるAlCl3の質量分率の増加とともに含窒素成分および芳香族成分の分配比は増加し, この傾向は特にキノリンおよびイソキノリンについて顕著であった (それぞれAlCl3を添加しない場合の最大26倍および85倍程度)。抽出相におけるAlCl3の質量分率の増加とともに, 芳香族成分に対するキノリンおよびイソキノリンの分離の選択度は大きく増加し, それぞれAlCl3を添加しない場合の最大で5倍および17倍程度となった。また, インドールの分離の選択度に対するAlCl3添加の影響はなかった。