石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
軽油の水素化脱硫触媒の活性化方法 (第2報)
軽油の深度および超深度水素化脱硫反応におけるポリスルフィドで処理したCoMo/Al2O3触媒の特性
銭 衛華山田 滋石原 篤一関 名子加部 利明
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2001 年 44 巻 4 号 p. 225-231

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抄録

市販CoMo/Al2O3触媒上での直留軽油 (硫黄含有量: 1.50wt%) の水素化脱硫および深度水素化脱硫後の直留軽油 (硫黄含有量: 0.045wt%) の超深度水素化脱硫反応を行い, ジ(1,1,3,3-テトラメチルブチル) ポリスルフィド (CS-40) の新規予備硫化剤としての可能性を検討した。反応条件は温度310~390°C, 全圧3.0MPa, LHSV 2.0~4.0h-1, Gas/Oil 125Nm3/m3であった。その結果から in situ 予備硫化において, CS-40を用いた場合ではジメチルジスルフィド (DMDS) を用いた場合とほぼ同様な触媒活性が得られ, 硫化水素を用いた場合より高い活性が得られることがわかった。また, 他の処理法と比べると, CS-40と単体硫黄を同時に使用した ex situ 処理法では, アルキル置換ジベンゾチオフェン (DBT) 類に対する触媒活性が顕著に向上した。すべての処理法では, DBTの水素化脱硫反応の見かけ活性化エネルギーがほぼ同じであるのに対し, CS-40と単体硫黄を同時に使用した ex situ 処理法の場合では, より低い4,6-ジメチルジベンゾチオフェン (4,6-DMDBT) の水素化脱硫反応の見かけ活性化エネルギーを示した。この結果は, CS-40と単体硫黄を同時に使用することによって, 触媒上の水素化反応に関与する活性サイトの形成を促進し, アルキル置換DBT類の芳香環の水素化を経て, シクロヘキシルベンゼン類を生成する間接脱硫反応活性が向上することを示唆した。

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