石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
二段直接脱硫プロセスにおける脱硫触媒の劣化 (第6報)
使用済み脱硫触媒のキャラクタリゼーションおよび残存活性
熊田 文雄関 浩幸斉藤 健吉本 昌雄
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2001 年 44 巻 4 号 p. 252-258

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抄録

重質油の二段脱硫 (脱メタル反応/脱硫反応) プロセスにおける後段脱硫触媒の初期劣化機構を解明するため, アラビアンヘビー常圧残油の脱メタル生成油を用いて30日間エイジングした使用済み触媒のキャラクタリゼーションおよび残存活性評価を行った。この時, スペント触媒を反応塔の位置により3種(上部•中部•下部) に分別し, 脱硫反応条件の温度と圧力の影響を検討した。反応温度が増加するほど芳香族性の高いコークが生成し, その量は反応塔の下部ほど多い傾向が見られた。一方, 反応圧力が140から80kg/cm2へ低下した場合, 触媒上のコーク量は増加するものの, 芳香族性は変化せず, また反応塔内での分布も一定であった。脱硫触媒の劣化機構に関し, スペント触媒の細孔容積測定から, 閉そく空間が触媒劣化に寄与していることがわかった。また, 実油およびモデル化合物を用いた脱硫活性試験より, 細孔の狭まりによる反応物の拡散律速は無視できることが確認された。残存脱硫活性はコーク量と良い相関があった。以上の知見より, 初期劣化の主原因はコーク析出によるものであると結論した。

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