2001 年 44 巻 4 号 p. 259-264
二段直接脱硫プロセスにおいて, 前段脱メタル反応条件が及ぼす後段脱硫触媒劣化への影響を調べるため, クウェート常圧残油を用いた20日間の劣化試験 (生成油硫黄濃度一定運転) より得られた使用済み脱硫触媒 (350°CにてLGO洗浄済み) のキャラクタリゼーションを行った。前段脱メタル反応温度が400°C以下では, 使用済み触媒上のコーク量と劣化試験より得られた劣化速度との間に直線的な相関が得られた。一方, 前段脱メタル温度が400°C以上の場合, 使用済み触媒上のコークおよびメタル蓄積量は脱メタル温度とともに減少するにも関わらず, 劣化速度は増加した。ここで, ソフトコーク (350°CでLGO可溶分) とハードコーク (350°CでLGO不溶分) の概念を用いると, 前段温度が400°C以上ではソフトコークによって脱硫触媒が劣化したと結論できる。