薬学図書館
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医薬品専門家への情報提供
吉澤 潤治
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2007 年 52 巻 1 号 p. 6-11

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抄録

医療用医薬品の先発企業は, それぞれの医薬品の創薬研究から市販後まで一貫して多くの医薬品情報を収集し, 医薬品情報資材として取りまとめ, 公表している。一方, 後発医薬品については, 自社で持っている医薬品情報は極めて少なく, 特に医薬品としての本質的な情報である有効性, 安全性の情報はほとんど持っていない。このために, 後発医薬品を使用している場合には, 製薬企業から医薬品情報を入手することは極めて困難で, 公表されている先発医薬品の情報を医療専門家が自らの手で調査し, 入手するしか方法がない。後発医薬品の使用が促進されている現状において, 医薬品情報入手の環境が大きく変わってきている。現在では多くの医薬品情報が公表され, 自ら入手できる環境になったが, 薬剤師は薬の専門家であるにもかかわらず, 多くの薬剤師が自らの手で医薬品情報を入手する努力をせず, 未だに製薬企業の医薬品情報の提供に頼りきっている。このために, 後発医薬品を使用しているが, 必要な医薬品情報が入手できないとの不満の声が絶えない。このような状況を変えていくには, 6年制の薬学教育は大きなチャンスであり, 薬学図書館に勤務している方々が医薬品情報の取り扱いの専門家との立場で教育にも関与し, 薬学教育の中で「自らの力で医薬品情報を入手し, 評価, 整理し, 使用するために役立つ知識, 能力の育成」に力を入れていただきたい。

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