自機関のホームページを学習させた文章生成AI(LM)内蔵のRAG型チャットボットを作成し,異なるLMの性能比較実験を行った。埋込用LM 2種(OpenAI text-embedding-3-large, Snowflake arctic-embed2)と応答用LM 5種(GPT-4o mini, Gemma3シリーズ1B-27B)の各組み合わせを比較した。3つの観点(①オープンな質問への回答能力,②クローズドな問いの正誤判定,③無関係な質問の回答拒否),で各10問(計30問)ずつ質問し,その回答を評価した。応答用LMのパラメータ数が大きいほど性能が向上し,Gemma3 27BはGPT-4o miniとほぼ同等の成績を示した。4B以上のモデルで無関係な質問を適切に拒否できたが,12B以下のモデルでは①②の観点の問いを的確に処理できなかった。実用的なRAG型チャットボットの構築にはGemma3 27Bクラス以上の応答用モデルが必要であることが示唆された。
済生会図書室連絡会では,2015年度に「診療に活かす文献ガイド」として医中誌Web・PubMed文献検索ポケットガイドを作成した。この度,ワーキンググループを結成し,両ガイドの改定を行うこととした。今回,①医中誌Web版作成にあたり,ユーザーの実際の利用シーンをより効果的に反映させるため,ペルソナ(Persona)と呼ばれる架空の利用者像を設定し,その利用者に「なにを」「どのように」説明するかを想定しながら作成した。本稿では,作成した検索ガイドとともに,作成する過程でペルソナ法をどのように活用したか,また,ワーキンググループでの議論やプロセスも併せて紹介する。
2023年に高知市で開催された第38回医学情報サービス研究大会(MIS38)を契機に,高知県内の図書館員有志による情報交換会が発足した。本稿では,情報交換会の誕生と運営の実態,認知症展示やデータベース講習会支援などの連携事例を通じて,地方における図書館ネットワークの可能性を考察する。制度にとらわれない自由な交流が,図書館員同士のつながりを育み,地域や学術分野における情報提供の幅を広げるきっかけとなっている。
ビジネス支援に特化した公共図書館である札幌市図書・情報館は,就労世代を主な利用対象とし,書架構成からセミナー開催に至るまで,斬新な施策を多数展開している。本稿では,当館のビジネス支援と医療情報の関係性を,具体事例を通じて紹介しながら,図書館が有する情報の多様性と領域の広がり,そして司書による情報提供の工夫とその意義について考察する。