令和4年度の薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に伴い,医歯薬共通の資質・能力が提示され,学習成果基盤型教育(Outcome-Based Education: OBE)への転換が進められている。本稿では,生成AI等の普及による臨床判断能力の劣化が危惧される中,状況に応じて知識を統合し,課題を解決できる「適応的熟達者」の育成における図書館の重要性を論じた。名城大学薬学部における「医薬品情報学実習」の事例を通じ,学生が自ら適切な情報源を選択・批判的吟味を行う教育の「現場」として図書館が果たすべき新たな学修・研究支援のアプローチを提案する。
この寄稿論文は,Society 5.0の実現に向けた社会変革と生成AIの急速な発展を背景として,教育および図書館を取り巻く情報環境の変化について述べたものである。まず,情報社会からSociety 5.0への移行とDXの考え方を整理し,医療・介護分野を例としてAI活用による新たな価値創造の可能性を示した。さらに,教育分野における個別最適な学びの実現に向けた生成AIの活用事例や,音声モードの活用,RAG,それにAIエージェントを含む新たな学習支援環境についても紹介した。また,Society 5.0への移行における人材育成の重要性についても言及し,生成AIの社会展開の中,教育分野においても新たな価値の創造や変革を引き起こしている段階にあることを示唆している。
本稿は,エルゼビアが2026年1月に正式リリースしたリサーチグレードAIワークスペースLeapSpaceを紹介する。LeapSpace(リープスペース)は,Scopus AIの開発で培った知見を基盤に,高品質な査読済みコンテンツとAIを組み合わせ,研究ライフサイクル全体を一つの環境で支援することを目指して設計されている。AIが研究者の批判的思考を損なうという懸念に正面から向き合い,Trust CardsやClaim Radarをはじめとする機能を通じて,研究者が自ら情報を吟味し判断できる環境を提供する。本稿を通じて,LeapSpaceの開発思想と主要機能,研究者にもたらす可能性を明らかにする。