1959 年 72 巻 853-854 号 p. 275-282
藻菌類, 嚢子菌類, 担子菌類および不完全菌類の4つの綱に属する菌類29種について, 硫黄源としてのコリン硫酸エステルの効用をしらべた。
Aspergillales, Pyrenomycetes および不完全菌類はいずれもコリン硫酸エステルを硫黄源としてよく利用する。 Alternaria tenuis の培養液中にはコリン硫酸エステルの加水分解によつて生じた硫酸イオンがみられた。
酵母菌類はコリン硫酸エステルを利用しないものが多い(Saccharomyces, Schizosaccharomyces, Zygosaccharomyces, Candida) が, Hansenula anomala だけがこれを硫黄源としてよく発育した。
藻菌類はコリン硫酸エステルを利用しないものが多く (Rhizopus nigricans, Mucor, Phycomyces, Absidia)が, Rhizopus oryzae だけがこれを硫黄源として利用し, よい発育を示した。
担子菌類はいずれもコリン硫酸エステルを硫黄源として利用しないが, これを与えた場合は正常培地におけるよりも一般によい発育を示した。