植物学雑誌
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石灰藻類の生化学的研究
1. 紅藻石灰藻類の無機成分について
古谷 庫造
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1960 年 73 巻 867 号 p. 355-359

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抄録

石灰藻類の炭酸石灰沈着の機構を明らかにする目的の第一歩として, 紅藻石灰藻サンゴモ科8種, ガラガラ科3種の主な無機成分の分析および, 二, 三のサンゴモ科の顕微鏡観察を行なった結果を報告する.
紅藻石灰藻はカルシウムを多量に含有し, 胞子発芽直後から細胞膜間に, 炭酸石灰として, 活發に沈着し, フサカニノテでは, 二細胞時代にすでに炭酸石灰の沈着が見られる. 藻体の炭酸石灰量は乾量に対して, サンゴモ科 65~70%, ガラガラ科 21~60% である. サンゴモ科ではマグネシウム量が他の紅藻より一般に多量である. 硫酸もマグネシウムと同様に, 他の紅藻よりかなり多量に存在する. 灰分中の硫酸は藻体の酸加水分解によって得た全硫酸の約半量である. このことから石灰藻には, 他の紅藻と同様, モノエステル型の硫酸が存在しているものと思われる. 遊離型の硫酸塩はほとんど存在しない. 燐酸含有量は少なく, サンゴモ科には他の紅藻にくらべて特に多い事実は認められなかった.

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