1962 年 75 巻 886 号 p. 127-132
非かんけつ照射においては, イワアカバナ種子とオトギリツウ種子とはともに長時間の照射を必要とするにもかかわらず, 従来, かんけつ照射はイワアカバナ種子にのみ有効であると考えられていた. しかしイワアカバナ種子に対するかんけつ照射の効果をさらに解析した結果, イワアカバナ種子とオトギリソウ種子の長時間の照射を要求する性質は共通の機作に由来すべきものと考えられた. それ故に, オトギリソウ種子に種々の構成のかんけつ照射を試みた結果, 10,000ルクス1分間の照射を6時間間隔で18回くりかえすことによって, 非かんけつ照射の場合に2日間以上の照射でなければ得られない 46% の発芽率を得ることができた. この結果および他の未発表の結果から, 非かんけつ照射の場合に長時間の照射を必要とする種子は一般に, 合計して数分間以下にすぎない照射時間からなるかんけつ照射でも発芽し得るものと考えられる.