植物学雑誌
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マツタケとアカマツとの生活関係 II. マツタケ菌根
広本 一由
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1963 年 76 巻 902 号 p. 292-298

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抄録

(1) 林地で採取したマツタケ菌根において, 菌糸は褐変した皮層細胞内まで侵入しているが, その内方にある無色の細胞内には見られなかった.
(2) 果糖+ガラクトース加寒天培養基上に, アカマツの幼苗およびマツタケ子実体から無菌的に切りとったひだを移植して, 菌根の合成培養を行なった.
(3) 合成菌根においても菌糸は褐変した皮層細胞内に侵入したが, その内方の無色の細胞内には見られなかった. また, よくふくらんだ円筒形の無色の表皮細胞にも菌糸の侵入がみられなかった.
(4) マツタケ菌の純粋培養および菌根の合成培養の結果からみて, 林地においてマツタケ菌根が形成される機会はきわめてわずかであると思われる.

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