植物学雑誌
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キク科植物の花部形態学 II
Flaveria repandaの種子と果実との発達
Sudhakar MISRA
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1964 年 77 巻 914 号 p. 290-296

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抄録

Flaveria repanda の胚発生は四細胞期以後の分裂順序には変化があるが, コンギク型サワギク亜型に属する. 不完全な受精による異状発生にはすでに多くの記載があるように, 本種においても認められた.場合によっては, 一つの助細胞が破壊されずに残り,その基部は反足細胞とともに, かなり長く, おそらく吸収器官として残存している. Endothelium は, 初め珠皮から栄養を吸収してこれを内乳に供給するが,子葉形成期には退廃し, クチン化した内壁は内乳の表面に押しつけられて, クチクラ状を呈する. 珠皮の表皮細胞は伸長すると同時に膜肥厚が起り, 内部の退廃した組織とともに種皮を形成する. 子房壁は受精以前に, めいりょうに内外二層に分化している. 内層は10-12稜を有し, 各稜に1管束がある. 稜間の部分には離生間隙ができ, 内層と外層とを分かつ. 受精後, 間隙に面する細胞は, 分泌細胞となり, 間隙内にタンニン様物質を分泌する. 分泌作用は外層の細胞に著しく, 内層の表面の細胞はしだいに繊維化して,果皮の内壁となる. 内層内部の細胞は, 管束周囲をのぞき退化する. 稜間部の細胞間隙は, 後に外層の細胞の膨出によって, ほとんど埋められる.

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