1969 年 82 巻 967 号 p. 1-5
アサガオ幼植物の花芽分化におよぼすX線とガンマー線の影響については, すでに報告したが1,2),それら の実験はすべて幼植物全体を照射する全身照射の方法ですすめられた. 本実験では, 放射線 (300~1000R) を局部的に照射して植物体のいかなる部分がそれに感応するかを調べた.
幼芽にたいして上記の線量を照射すると, 花芽分化にたいするいろいろな影響があらわれたが, 子葉およ び子葉葉柄にたいする照射はほとんど無効であったので, ガンマー線1)およびX線2)の花芽分化にたいする 影響は幼芽にたいするものであると結論できる. ただし, 花成刺激が子葉から幼芽に移動しつつあると考え
られる時期4)に高線量 (40kR~100kR) を子葉の葉柄に与えると, 花芽分化は阻害される. これは, 花成 刺激の伝達の問題と関連して注目すべき結果である.