植物学雑誌
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セイタカアワダチソウの物質 生産の研究I
現存量と年間純生産量
岩城 英夫高田 和男門司 正三
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1969 年 82 巻 972 号 p. 215-225

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抄録

利根川河辺の多年生草本セイタカアワダチソウ (Solidago altissima) 群落の地上部•地下部現存量の季 節的変動を調べ, 年間純生産量を推定した. LAI の極大値は4.8 (8月),地上部現存量の極大値は 1230 g乾量/m2 (10月下旬) であった. 10月下旬までの地上部枯死脱落量 (主として葉) は約280g/m2と推 定された.
一方, 地下部の年間生産量は 290g/m2 (地上部生産量の約20%に相当) であり, 年間純生産量は 1780 g/m2 と推定された.
物質生産および各器官の生長には明瞭な季節性がみられた. 生育第1期 (4月) は地下茎の貯蔵物質の減 少と葉のさかんな生長が特徴的である. また, 第2期 (5月-8月) は高い生産力と茎のさかんな生長が, 第3期 (特に10月) は地上部から地下部への物質の転流と地下茎のさかんな生長が特徴的である. 月別の 純生産量は7月 (380g/m2) が最高, 4月 (80g/m2) が最低であった.

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