2025 年 11 巻 p. 19-30
本研究の目的は,クリティカルケア領域の看護師がどのような調整が必要であると認識し,実際にどのような調整を行っているのか実態を明らかにすることである.集中治療室を有する施設に勤務するクリティカルケア領域の看護師を対象に,個人属性,職場環境,調整の認識と実践に関するWeb調査を実施した.その結果,医療者間における調整,患者・家族への対応における時間の調整,場所や空間の環境調整などの人,時間,場の調整において重要と認識しているものの実践できていない傾向があった.調整の認識と実践について,卓越した実践者である専門看護師,認定看護師と看護師を比較したところ,認識はクリティカルケア領域の患者・家族に対応するための調整1項目で,実践は円滑な治療を進行するための調整,クリティカルケア領域の患者・家族に対応するための調整,搬入から終末期までの特殊な環境を整えるための調整の5項目で有意差を認めた.自由記述では,【クリティカルケア領域から開始する退院調整のための課題と連携】【人的要因から生じる調整の困難さ】の困難さが抽出された.クリティカルケア領域では調整すべき内容を認識していながらも,その実践が困難である可能性が示唆された.