日本CNS看護学会誌
Online ISSN : 2434-4079
Print ISSN : 2189-5090
研究報告
退院後早期に再入院となる行動化を有する境界性パーソナリティ障害患者のセルフケアへの看護介入と課題
宇佐美 しおり
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2018 年 4 巻 p. 7-14

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抄録

 本研究は,退院後3カ月未満で再入院となる行動化を有する境界性パーソナリティ障害患者11事例に対し,オレム・アンダーウッドモデルを用いたセルフケアへの看護介入を行い,その有効性と課題を明らかにする.本研究は,2013(平成25)年4月から2016年3月までの間で,同意の得られた対象者11名にセルフケアへの看護介入を行い,その評価を行った.セルフケア上の要件では,【自分自身でできるようになりたいこと】と【他者に望むこと】が抽出され,これらの要件に対し,セルフケア上の目標として,【自分の時間がもてるようになる】【自分の活動が意図的にできるようになる】【生活リズム,1週間の生活を構造化できるようになる】【夫・母・子どもとの付き合いができるようになる】【行動化のコントロール】が挙げられていた.目標に対する看護介入では,【怒りの対象者を明確にし,対象に対する怒りの表出を促し怒りの背景に隠れたニードを共に模索する】【怒りのコントロールを促す】【1日,1週間の活動と休息のバランスをスケジュール化し,バランスをとることを促す】【行動を実施できたら肯定的にフィードバックする】【行動化の奥のニードに気づき行動化にかわる対処行動を検討する】が抽出された.今回退院後早期に再入院となる行動化を有する境界性パーソナリティ障害患者に対しては,セルフケアへの看護介入を行えば,3カ月の地域生活は維持できることが分かった.しかしながら3カ月過ぎると再入院する対象者も11名中4名存在し,セルフケアへの看護介入だけではなく自我・人格機能への介入が必要であると考えられた.

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© 2018 一般社団法人日本専門看護師協議会
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