抄録
本来の歯科臨床においては,一歯単位の治療ではなく顎口腔系を機能的な一単位として捉え,検査・診断・治療計画立案を行っていく必要がある.1900年代初頭より始まった包括的治療の流れは確立し,臨床では数多くの長期予後経過も認められている.
しかしながら,治療結果の良否は術者の経験値に影響される側面も見受けられる.そこで,デジタル機器を用いて患者固有の客観的基準を包括的治療に取り込もうと考えた.
目的:下顎左側臼歯部のブリッジの脱離による咀嚼障害を主訴として来院した38歳女性に対して, デジタル機器を用いて客観的基準に基づく治療を行った.
結論:デジタル機器を用いることにより,より精度の高い包括的治療を進められることが示唆された.