日本臨床歯科学会雑誌
Online ISSN : 2759-1883
Print ISSN : 2435-8517
審美領域におけるインプラント上部構造に関する考察
日髙 豊彦日髙 亨彦田井 康晴清水 英城高橋 和也
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2021 年 7 巻 1 号 p. 24-35

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抄録
審美領域におけるインプラント治療で患者の満足を得るためには,歯冠修復と同様に辺縁歯肉と歯間乳頭の位置,および その長期的安定が求められる.これらを確立するためにはインプラント埋入部位に必要な骨 (硬組織) と軟組織を確保することが 重要である.生体には固有差があるが一般的にはインプラントとアバットメントが同径の場合はインプラントの頬舌 (唇口蓋) 側 で 2 mm 以上,プラットフォーム・スイッチングの場合は1.5mm 以上の骨を確保し,どちらのデザインのものでもインプラント- 天然歯間には1.5mm 以上,インプラント-インプラント間には 3 mm 以上の骨を確保すべきであろう.インプラント周囲の軟組織 の高さは 4 mm 程度必要と思われるため,インプラント埋入の深さはインプラントとアバットメントが同径の場合は辺縁歯肉よ り 3 mm 程度根尖側方向に,プラットフォーム・スイッチングの場合は 4 mm 程度根尖側方向に埋入すべきではないかと多くの 文献で示唆されている.頬舌 (唇口蓋) 的軟組織の厚みは 2 mm 程度必要だと思われる.上部構造の形態は頬舌 (唇口蓋) 軟組織の厚 みを確保するため,歯肉縁下で凹状に,隣接形態は歯の修復と同様にハーフ・ポンティック・テクニックが応用できる.
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© 2021 日本臨床歯科学会
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