抄録
細菌感染により炎症が波及した上顎洞粘膜肥厚において,サイナスリフトの外科手術およびインプラント埋入は禁忌であ
る.臨床で定説となっている治療法および治療術式は慢性および難治性の上顎洞炎が完治した状態でないとインプラント埋入は
不可能である.診断のポイントは上顎洞自然口であり自然口の開存の有無が一連の術式の成否を決める.今回,ケースレポート
として抗菌薬投薬での感染肥厚部除去の限界についてと,耳鼻咽喉科における内視鏡下鼻内副鼻腔手術に頼らない歯科口腔外科
医が行うインプラント埋入のためのラテラルウィンドウテクニックによる粘膜肥厚切除術の新たな術式を紹介する.