2018 年 2018 巻 55 号 p. 9-13
めん羊前駆脂肪の分化過程におけるchemerin およびchemerin 受容体の発現を調査し,脂肪細胞に及ぼすchemerin の影響について検討した。 脂肪細胞分化誘導培地で処理しためん羊前駆脂肪細胞におけるchemerin およびchemerinR 遺伝子発現は,培養開始12 日で脂肪細胞の分化マーカーであるPPARγ, C/EBPαおよび炎症性因子であるTNF-αの遺伝子発現と共に増加し,無処理区での発現に比べ,有意に高かった。さらに,めん羊成熟脂肪細胞および前駆脂肪細胞におけるchemerin(200 ng/ml)処理は,成熟脂肪細胞内の脂質減少と前駆脂肪細胞の分裂を促進した。これらの結果は,chemerin がめん羊脂肪細胞の恒常性機能に関与する調節因子である可能性を示唆する。